高齢者の様子が急に変わった…そんなとき、どうしたらいい?
「最近、うちのおばあちゃん、歩くのがゆっくりになってきたな…。」
「食べる量も減ってきたし、外へ出るのも面倒くさそう。」
年齢とともに少しずつ変化があると、「介護保険を使った方がいいのかな?」と考える方も多いと思います。
一方で、
「昨日まで普通に歩いていたのに、急に歩けなくなった。」
「急に物忘れがひどくなった。」
そんな変化があった場合は、介護保険より先に病院を受診した方がよいケースもあります。
実際に私も地域包括支援センターで働いていた頃、
「急に食べなくなったので介護保険を申請したい。」
「急に歩けなくなったのでリハビリへ行かせたい。」
という相談を受けたことがありました。
しかし、お話をうかがって病院の受診をおすすめしたところ、病気が見つかったケースもあります。
この記事では、介護保険を検討した方がよい場合と、まず病院を受診した方がよい場合の違いについて、分かりやすく解説します。
介護保険の申請を検討した方がよいケース
高齢になると、体力や筋力、認知機能などが少しずつ変化することがあります。
このような変化で日常生活に支障が出てきた場合は、介護保険の利用を検討するタイミングかもしれません。
少しずつ歩くのが大変になってきた
以前より歩くスピードが遅くなったり、長い距離を歩くのがつらそうになったりしていませんか。
年齢とともに筋力や体力が低下すると、転倒のリスクも高くなります。そのまま外出する機会が減ると、さらに筋力が低下してしまうこともあります。
歩行が不安定になってきたと感じたら、介護保険を利用してリハビリを受けたり、手すりや歩行器などの福祉用具を活用したりすることで、安全に生活できるようになる場合があります。
少しずつ食事量が減ってきた
「最近、食べる量が少なくなったな」と感じることはありませんか。
年齢とともに食欲が落ちたり、噛む力や飲み込む力が弱くなったりすることがあります。
食事量が減ると低栄養になり、筋力や体力の低下につながることもあります。
活動量が減って食欲が落ちている場合は、デイサービスなどを利用して日中に体を動かすことで、生活リズムが整い、食欲が戻ることがあります。
また、「食べ物が噛みにくい」「飲み込みにくい」と感じる場合は、訪問看護や訪問リハビリなどで口の動きを確認したり、食べやすい食事の工夫についてアドバイスを受けたりすることもできます。
外出する機会が減ってきた
家にいる時間が増え、以前のように買い物や散歩へ出かけなくなったという方も少なくありません。
外出する機会が減ると、筋力や体力が低下しやすくなるだけでなく、人との交流が少なくなり、家に閉じこもりがちになることもあります。
デイサービスなどを利用すると、運動やレクリエーション、人との交流を通して、外出するきっかけづくりにもつながります。
家事や身の回りのことが難しくなってきた
掃除や洗濯、買い物などが負担になってきたり、お風呂や着替えに時間がかかるようになったりしていませんか。
以前は一人でできていたことが少しずつ難しくなってきた場合は、無理を続けることで転倒や体調を崩す原因になることもあります。
訪問介護などのサービスを利用することで、必要な支援を受けながら、自宅での生活を続けやすくなります。
少しずつ物忘れが増えてきた
年齢とともに物忘れが増えることは珍しくありません。
例えば、同じ話を何度もする、薬の飲み忘れが増える、約束を忘れることが多くなるなど、日常生活に影響が出始めた場合は、一度、地域包括支援センターなどへ相談してみましょう。
介護保険のサービスを利用することで、本人の生活を支えるだけでなく、家族の介護負担を軽減できる場合もあります。
このように、時間をかけて少しずつ変化がみられる場合は、介護保険の利用を検討する一つの目安になります。
ただし、「昨日まで普通だったのに急に歩けなくなった」「急に食べられなくなった」「急に物忘れがひどくなった」など、短期間で大きな変化が現れた場合は注意が必要です。
次に、まず病院を受診した方がよいケースについて見ていきましょう。
まず病院を受診した方がよいケース
一方で、急な変化がみられた場合は注意が必要です。
「介護が必要になったのかな」と思って介護保険の利用を考える方も多いですが、急な症状は病気が原因になっていることがあります。
介護保険の申請を考える前に、まずは病院を受診しましょう。
急に歩けなくなった
昨日までは普通に歩いていたのに、急に歩けなくなったり、立ち上がれなくなったりした場合は注意が必要です。
脳梗塞や骨折などが原因のこともありますが、それだけではありません。
体調が悪くなると体に力が入らず、思うように動けなくなることがあります。
「なんとなく元気がない」「歩けなくなったのは年齢のせいかな」と様子を見るのではなく、まずは病院で原因を調べてもらいましょう。
急に食べられなくなった
今まで普通に食事ができていた方が、急に食べられなくなった場合も注意が必要です。
体調が悪いと、若い人でも食欲がなくなることがあります。高齢者も同じように、体のどこかに不調があることで急に食事が進まなくなることがあります。
「介護保険を使おう」と考える前に、まずは病院を受診し、原因を確認することが大切です。
急に物忘れがひどくなった
認知症は、一般的には少しずつ進行していくことが多い病気です。
そのため、「昨日まで普通だったのに急に物忘れがひどくなった」「急に会話がかみ合わなくなった」という場合は、認知症だけが原因とは限りません。
脳梗塞や脳出血などの脳の病気が隠れていることがあります。しかし、それだけではありません。
体調を崩したり、持病が悪化したりすることで、一時的に認知症の症状が悪くなったように見えることもあります。
実際に私も、急に認知症の症状が悪化したと思われていた方が、病院を受診したことで病気が見つかり、治療によって症状が落ち着いたケースを経験しました。
急な物忘れや様子の変化がみられたときは、まず病院で診察を受け、原因を確認しましょう。
地域包括支援センターでも、このような相談がありました
私が地域包括支援センターで働いていた頃、
「急に食べなくなったので介護保険を申請したい。」
「急に歩けなくなったのでリハビリへ通わせたい。」
という相談を受けることが何度もありました。
しかし、お話を伺うと「急な変化」であることが気になり、まず病院を受診していただくようお伝えしました。
その結果、病気が見つかり、治療が必要だったケースは一度や二度ではありませんでした。
『急』という言葉がつく変化は、まず病気を疑うことが大切です。
まとめ
高齢になると、体力や筋力、認知機能などは少しずつ変化していくことがあります。その結果、日常生活に支障が出てきた場合は、介護保険の利用を検討するタイミングかもしれません。
一方で、「急に歩けなくなった」「急に食べられなくなった」「急に物忘れがひどくなった」など、短期間で大きな変化があった場合は注意が必要です。
急な変化は、体のどこかで病気や体調不良が起きているサインである可能性があります。
介護保険の利用を考えることも大切ですが、まずは病院で原因を調べてもらうことを優先しましょう。
そのうえで、治療後も生活に支援が必要な場合は、介護保険を利用してリハビリやデイサービス、訪問介護などのサービスを検討すると安心です。
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