「介護保険の申請って、具体的に何をするんですか?」
相談の中で、よく聞かれる言葉です。
なんとなく
「申請したらサービスが使える」
というイメージはあっても、
実際にどんな流れで進んでいくのかは、わかりにくいですよね。
この記事では、介護保険の申請の流れを、実際の現場で感じる“リアル”も交えながら、やさしく解説していきます。
介護保険の申請の流れ(全体像)
まずは、全体の流れをざっくり見てみましょう。
・申請書を提出する
・認定調査(自宅訪問)
・一次判定(コンピューター)
・主治医意見書の作成
・二次判定(審査会)
・認定結果が出る
このような流れで、「どのくらい介護が必要か」が判断されます。
申請はどうやってする?
介護保険の申請は、
市役所(介護保険の窓口)に提出します。
■ 必要なもの
申請のときには、以下のものを準備します。
・介護保険被保険者証(三つ折りの色付きの証書です)
・介護保険要介護認定・要支援認定申請書※
・健康保険被保険者証(40歳〜64歳の方)
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
※申請書は、市役所の窓口でもらえるほか、ホームページからダウンロードできる場合もあります。
■ 誰が申請できる?
申請は、
・本人
・家族
が行うことができます。
また、
・地域包括支援センター
・担当ケアマネジャー
・病院の地域連携担当者(入院中の場合)
が、代わりに手続きを行うことも可能です。
「自分で手続きするのが不安…」という場合は、無理をせず、周りの専門職に任せても大丈夫です。
■ 注意しておきたいこと
自治体によっては、代理で申請する場合に委任状が必要になることがあります。
事前に確認しておくと安心です。
認定調査とは?(実際に起きること)
申請後、自宅に調査員が訪問し、心身の状態や生活の様子を確認します。
歩行や寝返りなどの身体の動き、食事や入浴、認知機能、家事の様子などについて、質問や動作の確認が行われます。
■ まずは日程調整があります
認定調査は、
いきなり訪問されるわけではありません。
事前に調査員から連絡があり、訪問日時を調整してから行われます。
また、
・施設に入所している場合
・入院している場合
は、その場所に調査員が訪問します。
この場合、日程の調整は施設や病院が行うことが多く、家族が対応する必要はほとんどありません。
■ 実際はこんなことを聞かれます
認定調査では、思っている以上に細かいことを聞かれます。
たとえば、
・「週にどれくらいありますか?」
・「ここ1カ月ではどんな様子ですか?」
といったように、回数や頻度を具体的に聞かれることが多いのが特徴です。
また、ひとつの動作でも、細かく分けて確認されます。
たとえばトイレの場合でも、
・トイレまで歩いて行けるか
・ズボンの上げ下げはできるか
・拭くことはできるか
・水を流すことはできるか
・失禁はあるか(どれくらいの頻度か)
といったように、ひとつひとつ分けて確認されます。
■ よくあるズレに注意
実際の調査では、
・調査の日だけ元気に受け答えしてしまう
・本人と家族で認識に差がある
といったこともよくあります。
家族の立ち会いは必須ではありませんが、可能であれば同席し、普段の様子を補足できると安心です。
そのため、普段の様子を具体的に伝えることがとても大切です。
「だいたい大丈夫です」ではなく、「週に何回くらい」「どんなときに困るのか」など、できるだけイメージできる形で伝えるのがポイントです。
👉認定調査の日に限って元気になるのはなぜ?家族が知っておきたい対処法
一次判定ってなに?
かんたんに言うと、「どのくらい介護が必要か」を機械的に判断するものです。
認定調査で確認した内容をもとに、「どれくらいの介護の手間がかかるか」が点数として計算され、
その結果から、
・非該当(介護保険の対象外)
・要支援1〜2
・要介護1〜5
といった区分の目安が出されます。
■ ただし、これだけで決まるわけではありません
一次判定はあくまで、コンピューターによる機械的な判断です。
そのため、
・本人の細かな状態
・家族の状況
・生活の背景
といった部分までは、十分に反映されないこともあります。
最終的な認定は、この一次判定に加えて、主治医意見書などをもとに、審査会で決定されます。
主治医意見書とは?
主治医意見書とは、かかりつけの医師が、本人の状態について記載する書類です。
病気の状況や日常生活への影響、今後の見通しなどが書かれ、介護認定の判断に大きく関わります。
■ 注意しておきたいこと
主治医意見書で気をつけたいのは、次の点です。
・定期的に通院していないと書いてもらえない
・普段の状態がうまく伝わらないことがある
■ 実際によくあるケース
たとえば、認知症で困っている方でも、内科的な異常が少ない場合、かかりつけ医に書いてもらうと「特に問題なし」と評価されてしまうことがあります。
一方で、認知症を専門とする医師が書いた場合は、
・記憶障害や見当識障害の有無
・検査結果(脳の萎縮や血流の低下など)
・日常生活への影響
といった点まで、しっかり反映されることがあります。
■ 大切なのは「困っていることが伝わるか」
主治医意見書は、「どんなことで困っているか」が正しく伝わることがとても重要です。
そのためには、
・普段の様子を診察時に伝える
・状況に合った医師に相談する
といった工夫が必要になることもあります。
診察のときに少し伝えるだけでも、
書かれる内容が大きく変わることがあります。
※主治医意見書は、自治体によって手続き方法が異なる場合があります。
市役所から主治医へ直接送られるケースもあれば、本人や家族が医療機関へ持参する必要がある場合もあります。
申請時に、どのような流れになるのかを確認しておくと安心です。
二次判定(審査会)とは?
一次判定(コンピューターの判定)と主治医意見書の内容をもとに、専門職が集まる審査会で最終判断が行われます。
ここで、
・非該当
・要支援1〜2
・要介護1〜5
といった区分が決定されます。
■ 実際にはどれくらい時間がかかる?
申請から認定までは、原則として「1カ月以内」とされています。
ただ実際には、1カ月以上かかることも多いのが現状です。
■ 認定結果はどう届く?
認定が決まると、
・認定結果の通知書
・新しい介護保険被保険者証
が、市役所から郵送されてきます。
申請中はどうなるの?
申請の際には、これまで使っていた介護保険被保険者証を一度提出します。
そのため、手元に保険証がない状態になりますが、代わりに
**「資格者証」**という書類が発行されます。
これは、介護保険被保険者証の代わりとして使えるものなので、安心してください。
認定結果が出たあと
認定結果が出ると、その区分に応じて、次の支援先につながります。
・要支援 → 地域包括支援センター
・要介護 → ケアマネジャー
そこから、具体的なサービスの利用が始まります。
👉地域包括支援センターとは?何をしてくれる場所?相談できることをやさしく解説
👉居宅介護支援とは?ケアマネジャーの役割とサポート内容をやさしく解説
👉介護認定が「非該当」だったらどうする?次にできることをやさしく解説
■ 実は「申請日までさかのぼる」
認定結果は、申請した日までさかのぼって適用されます。
たとえば、
4月16日に申請して、
5月20日に要介護1と認定された場合、
👉4月16日の時点から「要介護1」として扱われます。
そのため、申請後すぐにサービスを利用していた場合でも、あとから介護保険が適用されることがあります。
まとめ
介護保険の申請は、
・申請
・認定調査
・主治医意見書
・審査会
といった流れを経て、要支援・要介護などの区分が決定されます。
はじめての方にとっては、「何をするのかよくわからない」「難しそう」と感じることもあるかもしれません。
しかし実際には、ひとつひとつの流れを知っておくだけでも、安心して進めることができます。
また、認定調査では普段の様子を具体的に伝えること、主治医意見書では困っていることがしっかり反映されることが、とても大切になります。
申請後は、結果が出るまでに時間がかかることもありますが、申請日にさかのぼって適用される仕組みもあります。
「まだ早いかな」と感じる段階でも、まずは地域包括支援センターや市役所に相談してみることが、大きな一歩につながります。
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