居宅ケアマネジャーをしていた頃、病院の地域連携の担当者から、ある相談を受けました。
「がん末期の患者さんの支援をお願いできませんか?」
入院はしておらず、治療の希望もないため、自宅での生活を支えていきたいとのことでした。
Aさんは、奥様との二人暮らし。
ご自宅に伺うと、段差も多く、ベッドを置くスペースもない環境でした。
さらに、Aさんには認知症もあり、体調についてお聞きしても、
「別に、なんとも…」
と、病気の理解が十分ではない様子でした。
一方で奥様は、
「主人のことは心配だけど、仕事があって日中はどうしても介護ができない」
「認知症があるから、私の言うことも理解していないし、一人で置いておくのが不安で…」
「もし急に体調が悪くなったら、どうしたらいいのか…」
と、不安を抱えておられました。
今後、病状が進行していくこと、介護の負担が増えていくこと、そして奥様のお仕事があること。
それらを踏まえて、私は看護小規模多機能の利用を提案しました。
見学に行かれ、契約が終わり、ケアマネジャーは事業所の担当者に引き継がれ、サービスの利用が始まりました。
最初は週2回の通いからスタートし、徐々に泊まりや訪問の利用を増やしていきました。
当初は、
「帰ります」
と、落ち着かない様子だったAさんも、少しずつ環境に慣れ、職員ともなじみの関係ができていったそうです。
そして月日が流れ、Aさんは泊まりのサービスを中心に利用されるようになり、
そのまま、看護小規模多機能で穏やかに最期を迎えられたと聞きました。
病気の理解が難しい中でも、なじみの場所で、なじみの人に囲まれて過ごせたこと。
それがAさんにとって、安心できる時間につながっていたのではないかと感じています。


