「小規模多機能」というサービス、聞いたことはありますか?
デイサービスや訪問介護は知っていても、このサービスはあまり知られていないのが現実です。
実際の相談の場面でも、こちらから説明して初めて知る方がほとんどです。
でも実は、在宅での生活を支えるうえで、とても柔軟で頼りになるサービスのひとつです。
今回は、小規模多機能型居宅介護とは何か?
そして、似ている名前の看護小規模多機能居宅介護との違いについても、やさしく解説していきます。
小規模多機能型居宅介護とは?
小規模多機能型居宅介護とは、
「通い」「訪問」「泊まり」を
ひとつの事業所でまとめて利用できるサービスです。
ただし、ここでイメージしてほしいのは、いわゆる大きな施設とは少し違います。
デイサービスはここ、ショートステイは別の場所、訪問介護はまた別の事業所…というようにバラバラに利用するのではなく、
ひとつのなじみの場所で過ごしながら、必要に応じて「通い」「泊まり」「訪問」を同じスタッフが支えてくれるのが特徴です。
たとえば、
・いつも通っている場所で、そのまま泊まる
・顔なじみの職員が、自宅にも来てくれる
そんなふうに、環境も人も大きく変わらないまま、生活を支えてもらえる仕組みになっています。
小規模多機能が向いている人
環境の変化に敏感な方(認知症の方など)
小規模多機能型居宅介護は、特に「環境の変化に敏感な方」に向いているサービスです。
たとえば認知症の方は、知らない場所や知らない人との関わりが増えることで、不安や混乱が強くなることがあります。
その点、小規模多機能では、なじみの場所で過ごしながら、なじみの職員が関わるため、安心して過ごしやすくなります。
柔軟な対応が必要な方(その日によって必要な支援が変わる方)
「その日によって必要な支援が変わる方」にも向いています。
小規模多機能は定額制のため、回数にとらわれず、そのときの状態に合わせて柔軟にサービスを利用できます。
「今日は通いに行く」
「体調が悪いから泊まりにする」
「家での支援を増やしたい」
といったように、状況に応じて対応しやすいのが特徴です。
住み慣れた地域で暮らし続けたい方
さらに、住み慣れた地域で生活を続けたい方にも適しています。
小規模多機能は地域密着型サービスのため、原則として同じ地域の中で利用します。
そのため、これまでの生活環境や人とのつながりを保ちながら、支援を受けることができます。
看護小規模多機能型居宅介護とは?
看護小規模多機能は、小規模多機能の機能に加えて、訪問看護がセットになったサービスです。
つまり、
・通い
・訪問(介護)
・泊まり
+
・訪問看護(医療ケア)
これらをまとめて受けることができます。
小規模多機能との大きな違いは、医療的なケアに対応できるかどうかです。
たとえば、
・点滴や医療処置が必要な方
・状態が不安定で、こまめな観察が必要な方
こういった方でも、自宅での生活を続けやすくするためのサービスです。
医療的なケアが必要な場合は、看護小規模多機能の利用が検討されます。
「自宅で過ごしたいけど、本当に大丈夫なんやろか…」
そんな不安を感じることもあるかもしれません。
私がケアマネ時代に関わる中でも、同じように悩みながら支えておられるご家族はたくさんおられました。
その中で、看護小規模多機能という選択によって、安心して過ごせる時間につながったケースもあります。
実際に関わった方のエピソードをまとめています。
👉「なじみの場所」で過ごせた最期|看護小規模多機能という選択
小規模多機能を利用するときの注意点
他のサービスと自由に組み合わせることができない
小規模多機能を利用すると、通い・訪問・泊まりといったサービスは、その事業所のものをまとめて利用する形になります。
そのため、
・デイサービスはここ
・訪問介護は別の事業所
・ショートステイはまた別の施設
といったように、サービスごとに自由に選んで組み合わせることはできません。
ただし、
・福祉用具レンタル
・住宅改修
など、小規模多機能で対応していないサービスは、これまで通り利用することができます。
ケアマネジャーが事業所の職員になる
小規模多機能を利用する場合、担当のケアマネジャーは、その事業所に所属する職員になります。
これまでのように、居宅のケアマネジャーに相談しながらサービスを選ぶ形ではなく、ひとつの事業所にまとめて支援をお願いする形になります。
小規模多機能の利用の流れ
小規模多機能型居宅介護を利用するまでの流れは、基本的には他の介護サービスと大きく変わりません。
①相談(ケアマネジャー・地域包括支援センター)
まずは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談します。
「どんなサービスが合っているのか」「小規模多機能が向いているか」などを一緒に考えていきます。
②見学
気になる事業所があれば、見学を行います。
小規模多機能は、「なじみの場所・なじみの職員」での関わりが大切なサービスです。
そのため、
・雰囲気が合いそうか
・職員の対応はどうか
といった点を、実際に見て確認することがとても重要です。
③契約
利用する事業所が決まれば、契約を行います。
このとき、サービス内容や利用方法、料金についての説明を受けます。
④ケアプラン作成
契約後は、その事業所のケアマネジャーが
ケアプランを作成します。
利用者の状態や希望に合わせて、通い・訪問・泊まりをどのように組み合わせるかを考えていきます。
⑤サービス利用開始
ケアプランに基づいて、サービスの利用がスタートします。
体調や生活状況に合わせて、利用内容を柔軟に調整しながら支援が行われます。
料金の目安(1割負担の場合)
小規模多機能・看護小規模多機能は、利用回数に関わらず月額定額制となっています。
そのため、サービスを多く使った月でも、料金が大きく変わることはありません。
小規模多機能型居宅介護の料金目安
| 要介護度 | 月額(目安) |
|---|---|
| 要支援1 | 約3,500円 |
| 要支援2 | 約7,000円 |
| 要介護1 | 約10,500円 |
| 要介護2 | 約15,500円 |
| 要介護3 | 約22,500円 |
| 要介護4 | 約24,800円 |
| 要介護5 | 約27,300円 |
看護小規模多機能型居宅介護の料金目安
| 要介護度 | 月額(目安) |
|---|---|
| 要介護1 | 約12,500円 |
| 要介護2 | 約17,500円 |
| 要介護3 | 約24,500円 |
| 要介護4 | 約27,500円 |
| 要介護5 | 約31,000円 |
※看護小規模多機能は、要支援の方は利用できません。
補足
・食費や宿泊費などは別途必要になります
・加算(サービス内容による追加料金)がかかる場合もあります
小規模多機能まとめ
小規模多機能型居宅介護は、通い・訪問・泊まりを柔軟に組み合わせながら、なじみの場所・なじみの職員で支えてもらえる在宅サービスです。
さらに、医療的なケアが必要な方には、看護小規模多機能という選択肢もあります。
どちらも、「できるだけ自宅で生活を続けたい」という思いを支える、心強いサービスのひとつです。
一方で、サービスの併用に制限があったり、事業所ごとに特徴が大きく異なったりと、注意しておきたい点もあります。
だからこそ、実際に見学をしたり、ケアマネジャーと相談しながら、その方に合ったサービスを選ぶことが大切です。
「なんとなく難しそう」と感じていた方も、ひとつの選択肢として、知っておくだけでも十分です。
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