「もっとデイサービスに行ってほしいのに…もう介護保険の単位がいっぱいで利用できない💦」
「介護が大変になってきたのに、もっとサービスを利用できないの?」
このように感じたことはありませんか?
そんなときに検討する制度が、介護保険の区分変更です。
区分変更とは、更新の時期を待たずに、今の心身の状態に合わせて要介護度を見直してもらうための申請です。
この記事では、区分変更を検討した方がよいケースや申請方法、注意点について、ケアマネジャーとしての経験も交えながら分かりやすく解説します。
介護保険の区分変更とは?
介護保険の認定には有効期限があり、一定期間ごとに更新申請が必要です。
しかし、有効期限を迎える前でも、心身の状態が大きく変わった場合は、区分変更を申請できます。
区分変更とは、現在の心身の状態に合わせて要介護度を見直すための申請です。
申請後は、認定調査や主治医意見書などをもとに審査が行われ、新しい要介護度が判定されます。
区分変更を検討した方がよいケース
区分変更を検討する一番の理由は、現在の介護保険サービスでは足りなくなったときです。
心身の状態が変わっていても、今の介護保険サービスで困ることなく生活できているのであれば、急いで区分変更をする必要はありません。
一方で、必要なサービスを利用したくても介護保険の支給限度額が足りない場合や、現在の要介護度では状態に合ったサービスを利用しにくい場合は、区分変更を検討することがあります。
介護保険サービスを増やしたいとき
「もっとデイサービスを利用したい」
「訪問介護の回数を増やしたい」
このように思っても、介護保険には要介護度ごとに利用できる上限(支給限度額)があるため、現在の要介護度では希望するサービスを利用できないことがあります。
そのような場合は、区分変更を検討するタイミングの一つです。
施設への入居を検討しているとき
介護施設の中には、要介護度が入居条件になっている施設があります。
現在の心身の状態と要介護度が合っていないために、希望する施設への入居が難しい場合は、区分変更を検討することがあります。
退院後の生活で介護が必要になったとき
入院中に心身の状態が変わり、退院後は以前より介護が必要になることがあります。
現在の要介護度では必要な介護保険サービスが不足すると考えられる場合は、退院後の生活に向けて区分変更を検討することがあります。
状態が良くなったとき
病気やけがで一時的に介護が必要になり、要介護度が高く認定されることがあります。
その後、リハビリなどによって状態が改善し、以前より介護の手間が少なくなった場合は、区分変更を検討することがあります。
「良くなったのに、わざわざ区分変更をする必要があるの?」と思われるかもしれません。
しかし、介護保険は現在の心身の状態に合った要介護度で利用する制度です。
また、利用する介護保険サービスや施設によっては、要介護度が変わることで自己負担額が変わる場合もあります。
実際に私も、施設に入所されていた方で、ご家族から「状態が良くなってきたので見直してほしい」と相談があり、区分変更を申請した結果、要介護度が下がったケースがありました。
介護度が下がることで、施設サービス費の自己負担も変わりました。
区分変更の目的は「介護度を上げること」ではありません
区分変更の目的は、要介護度を上げることではありません。
現在の心身の状態に合った介護保険サービスを利用し、安心して生活を続けられるようにすることが目的です。
そのため、認知症が進んだ場合や歩くことが難しくなった場合でも、今の介護保険サービスで十分対応できているのであれば、急いで区分変更をする必要はないこともあります。
反対に、介護保険サービスが足りず、生活や介護に支障が出ている場合は、区分変更を検討するタイミングといえるでしょう。
区分変更の申請方法
区分変更の申請方法は、介護保険の新規申請や更新申請とほぼ同じです。
申請書には「新規」「更新」「区分変更」などの項目があるので、「区分変更」に〇を付けて申請します。
区分変更の場合は、申請する理由を記入する欄があります。
ここで大切なのは、
「デイサービスを増やしたいから」
「介護度を上げたいから」
だけでは、理由として不十分な場合があることです。
例えば、
- どのような状態になったのか
- 現在どのようなことに困っているのか
- なぜサービスを増やす必要があるのか
- サービスを利用することで、どのような生活を送りたいのか
などを具体的に伝えることが大切です。
その後は、新規申請や更新申請と同じように、認定調査や主治医意見書などをもとに審査が行われます。
区分変更が必要かどうか迷ったときは、まず担当のケアマネジャーに相談してみましょう。
現在の状態や生活の様子を確認したうえで、区分変更が必要かどうか、一緒に考えてもらえます。
要介護認定の流れについてはこちら
👉 介護保険の申請の流れ|実際に何をする?注意点とリアルをやさしく解説
区分変更を申請するときの注意点
申請しても要介護度が上がるとは限りません
区分変更を申請したからといって、必ず要介護度が上がるわけではありません。
認定調査や主治医意見書などをもとに審査が行われ、現在の心身の状態に応じて判定されます。
その結果、要介護度が変わらず、現在の介護度のままと判定されることもあります(現場では「却下」と呼ばれることがあります)。
また、私自身は経験していませんが、状態によっては要介護度が下がることもあります。
すぐに区分変更できない場合もあります
区分変更の申請基準や運用は、市区町村によって異なることがあります。
私が担当していた地域では、「状態が変わってから2週間ほど様子を見てください」と言われ、すぐには区分変更を受け付けてもらえないこともありました。
反対に、比較的早く対応してもらえる自治体もあります。
判断に迷ったときは、担当のケアマネジャーや市区町村へ確認すると安心です。
認定結果が出る前でもサービスを利用できることがあります
区分変更を申請してから認定結果が届くまでは、1~2か月程度かかることがあります。
その間も介護が必要な場合は、「暫定(ざんてい)ケアプラン」を作成し、認定結果が出る前でも必要な介護保険サービスを利用できることがあります。
ただし、注意が必要です。
もし認定結果が「要介護度は変わりません」という判定になり、現在の要介護度で利用できる上限を超えてサービスを利用していた場合は、超えた分は自己負担になる可能性があります。
そのため、暫定でサービスを利用するときは、ケアマネジャーとよく相談しながら進めることが大切です。
なお、区分変更で要介護度が変更された場合は、原則として申請日から新しい要介護度が適用されます。
※自己負担が高額になった場合は、負担を軽減できる制度があります。詳しくは「高額介護サービス費」の記事をご覧ください。
👉高額介護サービス費ってなに?負担の上限と戻るしくみをやさしく解説
まとめ
介護保険の区分変更は、現在の心身の状態に合わせて要介護度を見直すための申請です。
区分変更を検討するのは、介護保険サービスが足りなくなったときや、現在の要介護度では生活に必要な支援を受けにくくなったときが一つの目安です。
一方で、状態が変わったからといって必ず区分変更が必要になるわけではありません。
また、申請しても要介護度が上がるとは限らず、そのままの判定になることもあります。
区分変更が必要かどうか判断に迷ったときは、一人で悩まず、まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談してみましょう。
その人の心身の状態や生活状況に合わせて、区分変更が必要かどうか、またどのような介護保険サービスが適しているかを一緒に考えてもらえます。
介護保険は、要介護度を上げることが目的ではありません。
その人が安心して生活を続けられるように、必要な介護保険サービスにつなげるための制度です。
区分変更も、その人に合った介護保険サービスを利用するための大切な仕組みの一つです。
関連記事
👉 介護保険の申請の流れ|実際に何をする?注意点とリアルをやさしく解説
