介護職として働き始めたばかりのころ、ユニット型特養の職員として勤務していました。
ある日、「ショートステイに異動ね」と言われ、ショートステイのユニットで働くことになりました。
ショートステイは、特養や老健に併設されていることが多いサービスです。
当時の私は、正直こう思っていました。
「特養は昼間10人、夜は20人見るのに、ショートは10人だけでいいんやな」
「しかも日中は職員が2~3人いるし、夜も10人だけやったら、ちょっと楽なんちゃう?」
……甘かったです。
めちゃくちゃバタバタでした。
まず、人の入れ替わりが激しい。
「え、今日3人来るん?」
「え、今日4人帰るん?」
送迎自体は相談員さんが対応してくれるものの、ショートの職員はその間もフル稼働です。
居室の準備、荷物の確認、バイタル測定、ご家族への連絡の記録……
ひとつでもミスがあれば、謝って、対応して、また次へ。
忘れ物があれば、相談員さんに自宅まで届けてもらうこともあり、現場は常にバタバタしていました。
そして、もうひとつ大変なのが――
利用者さんが落ち着かないこと。
今日来た方は、
「ここはどこですか?」
「帰ります」
「いつ帰れるんですか?」
その声が周りに伝わって、「私も帰ります」と広がっていく。
今日帰る方を見て、「私も帰ります」と言い出す方もいる。
何度も同じことを聞かれる。
玄関に向かって歩いていかれる。
バタバタしている中で、ひとりひとりに向き合う難しさを感じていました。
「体がいくつあっても足りない……」
そんなふうに思う毎日でした。
特養とはまったく違う仕組みに、最初は戸惑うことばかりでした。
それでも、いろいろな方と出会う中で、ショートステイを利用される方の気持ちが、少しずつわかるようになってきました。
知らない場所に来る不安。
帰れるかどうか分からない不安。
その気持ちに寄り添うことを意識するようになってから、少しずつ変化が見えてきました。
利用者さんも、何度か利用するうちに慣れてこられ、「また来たよ」と言ってくださるようになったり、同じ職員や利用者との関係ができて、落ち着いて過ごされるようになったり。
もちろん、1泊2日で大混乱になり、そのまま利用されなくなった方もおられます。
でもそれは、「ショートステイが合わなかった」というよりも、
場所が合わなかったのかもしれない
タイミングが早すぎたのかもしれない
他のサービスの方が合っていたのかもしれない
そんなふうに感じています。
誰でも、知らない場所で過ごすのは落ち着かないものです。
でもその気持ちに寄り添うことで、「また来てもいい場所」になっていく。
ショートステイは、ただ泊まるだけの場所ではなく、少しずつ“なじんでいく場所”でもあるのだと思います。
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