あるとき、「担当している入院中の方が施設へ入居する」と聞き、
同僚のケアマネジャーに同行したことがある。
家族さんがいろいろ考えた末、
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居を決められたという。
病院のカンファレンスでは、
要支援から要介護3へ認定が上がったと聞いていた。
その日は、サ高住での契約日。
必要なサービスはこうだった。
・居宅ケアマネによるケアマネジメント
・サ高住での安否確認や生活支援
・訪問介護(朝夕の整容、週2回の入浴介助)
・訪問看護によるリハビリ
・デイサービス週2回
・福祉用具(歩行器レンタル)
制度としては、何もおかしくない。
必要な支援はきちんと整っている。
でも――
サ高住は「施設」ではなく、
あくまで「住宅」という位置づけだ。
だから、
・住宅(サ高住)の契約
・居宅介護支援(ケアマネ)の契約
・訪問介護(ヘルパー)の契約
・訪問看護の契約
・通所介護(デイサービス)の契約
・福祉用具の契約
それぞれ、契約が必要になる。
その仕組みについては同僚ケアマネが事前に説明していたものの、
十分に伝わっていなかったのかもしれない。
書類が次々に出てくるなかで——
「一体、何回契約させるんや!!!!」
その場が凍った。
でも、正直に言うと、
その戸惑いは無理もないものだった。
「施設に入る」と聞けば、
生活も介護もその中で完結すると思うのが自然だ。
制度の説明を受けていても、
実際に何枚もの契約書を前にすると、
“思っていたのと違う”と感じることはある。
それほどまでに、
「施設」という言葉のイメージは強い。
制度としては正しくても、
知らなければ「思っていたのと違う」と感じてしまう。
入居先を選ぶときは、
「どんな生活になるか」だけでなく、
「どんな契約が必要になるのか」まで含めて、
一度立ち止まって確認してほしい。
あとから戸惑わないために。
“施設に入る”という言葉の中身は、
実はひとつではない。
思っているよりも、
仕組みは細かく分かれている。
全部おまかせ、とは限らない。
その違いを事前に知っているだけで、
感じるギャップは、きっと小さくできる。

