介護保険って、結局なに?
介護の仕事をしている私でも、はじめはよく分かっていませんでした。
言葉は知っているのに、仕組みはむずかしい。
どこから考えたらいいのかも分からない。
たとえば――
どうやって使うの?
どこに相談したらいいの?
介護が必要になったら、誰でも使えるの?
そもそも何をしてくれる制度なの?
医療保険なら、病院に行けば3割負担で受診できたり、マイナンバーカードで手続きができたりと、なんとなく仕組みを想像できますよね。
でも介護保険は、保険証のようなものを普段は意識することもなく、必要になって初めて向き合う制度です。
だからこそ多くの人が、
「いざという時、何から始めたらいいのか分からない」
と戸惑ってしまいます。
介護は、ある日突然始まることがあります。
そのときに困らないように、まずは介護保険の大まかな全体像を、やさしく一緒に見ていきませんか。
① 介護保険ってどんな制度?
介護保険は、年齢を重ねたり、病気などで介護が必要になったときに、みんなで支え合うための社会のしくみです。
2000年に始まった制度で、介護が必要になっても、できるだけ自分らしく生活できるように、さまざまなサービスを利用できるようになっています。
たとえば――
- 自宅にヘルパーさんが来てくれる
- デイサービスに通える
- 福祉用具を借りられる
- 施設に入所できる
こうした支援を、費用の一部負担だけで利用できるのが、介護保険の大きな特徴です。
医療保険とのちがいは?
介護保険を考えるとき、医療保険との違いを知っておくとイメージしやすくなります。
医療保険は、病気やけがを治すために、病院で診察や治療を受ける制度です。
一方で介護保険は、治すことよりも、生活を支えることが目的です。
- 食事や入浴など日常生活のサポート
- 自宅で暮らし続けるための支援
- 家族の介護負担を軽くする仕組み
こうした「暮らし」に寄り添うのが、介護保険の役割なんですね。
まずは「生活を支える制度」と覚えれば大丈夫
介護保険は、細かい仕組みを見ていくと少しむずかしく感じます。
でも最初は、
「介護が必要になったとき、生活を支えてくれる制度なんやな」
――そう思ってもらえたら十分です。
ここから先は、「誰が使えるのか」「どうやって利用するのか」など、順番にやさしく整理していきますね。
② 誰が使えるの?
介護保険は、年齢や状態によって利用できる人が決まっている制度です。
大きく分けると、次の2つのグループがあります。
65歳以上の人(第1号被保険者)
65歳以上の方は、原因となる病気に関係なく、介護や支援が必要と認定されれば利用できます。
たとえば――
- 年齢による体力の低下
- 認知症
- 病気やけがによる生活の不自由さ
など、理由はさまざまですが、日常生活に介助が必要と判断されれば対象になります。
40〜64歳の人(第2号被保険者)
40歳から64歳までの方も、条件を満たせば介護保険を利用できます。
ただしこの場合は、加齢に関係する特定の病気が原因で、要介護認定または要支援認定を受けたときに限られます。
対象となる病気には、脳血管疾患やパーキンソン病、若年性認知症などがあり、全部で16種類と定められています。
迷ったときは「年齢」で考えると分かりやすい
少しややこしく感じるかもしれませんが、最初は次のように覚えておくと大丈夫です。
65歳以上 → 原因を問わず対象になる可能性がある
40〜64歳 → 特定の病気が原因のときだけ対象
このイメージを持っておくだけでも、介護保険の理解がぐっと進みます。
③ どんなサービスがあるの?
介護保険では、介護が必要になっても、できるだけ自分らしい生活を続けられるように、さまざまなサービスが用意されています。
大きく分けると、次の3つの形があります。
自宅で生活を続けながら利用するサービス
住み慣れた家で暮らしながら、必要な支援を受けることができます。
たとえば――
- ヘルパーさんが自宅に来てくれる(訪問介護)
- デイサービスに通う
- 看護師さんが訪問してくれる(訪問看護)
- 福祉用具を借りる・住宅を生活しやすいように改修する
「できるだけ家で過ごしたい」そんな思いを支えるサービスです。
施設に入所して生活を支えてもらうサービス
自宅での生活がむずかしくなった場合は、施設で生活しながら介護を受けることもできます。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院 など
生活全体をサポートしてもらえるため、家族の負担を軽くする役割もあります。
介護を予防するためのサービス(要支援の方)
まだ重い介護は必要ないけれど、これ以上状態が悪くならないように支えるためのサービスもあります。
- 運動や体操のあるデイサービス
- 生活機能を保つための支援 など
「元気に暮らし続けること」を目的にした、大切なサポートです。
その人に合った組み合わせで利用できる
介護保険のサービスは、一つだけでなく組み合わせて使うことができます。
たとえば、
デイサービスに通いながら
福祉用具を借りて
必要な日にヘルパーさんに来てもらう
といった形で、その人の生活に合わせて整えていきます。
ここで中心となるのが、ケアプランを作成するケアマネジャーの存在です。
ケアマネジャーについては、また別の記事でくわしくお話ししますね。
④ お金はどれくらいかかるの?
介護保険を利用するときに、やっぱり気になるのが費用ですよね。
結論から言うと、介護保険のサービスは、かかった費用の1〜3割の自己負担で利用できます。
残りの7〜9割は、介護保険から支払われる仕組みになっています。
自己負担の割合は人によって違う
自己負担の割合は、主に所得によって決まります。
多くの方 → 1割負担
一定以上の所得がある方 → 2割または3割負担
医療保険と同じように、収入に応じて負担割合が変わる仕組みです。
使える金額には上限がある
介護保険では、要介護度ごとに 1か月に利用できるサービス費用の目安(支給限度額) が決められています。
その範囲内であれば、原則として1〜3割負担でサービスを利用できます。
たとえばデイサービスの場合、1回あたり1,000円〜2,000円前後で利用できることも多く、
「思っていたより高くない」
と感じる方も少なくありません。
※実際の費用は、要介護度や利用内容、地域などによって変わります。
「思ったより高い…」を防ぐために
実際の費用は、
どんなサービスを
どれくらい利用するか
によって変わります。
そのため、事前にケアマネジャーと相談しながら決めていくことで、無理のない範囲で利用することができます。
お金のことも含めて、一緒に考えてくれる存在がいるのは、介護保険の安心できるところですね。
⑤ 困ったらまずどこに相談する?
介護のことを考え始めたとき、多くの人が最初に迷うのが、
「いったい、どこに相談したらいいの?」
ということではないでしょうか。
そんなときに頼れるのが、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは身近な相談窓口
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護に関する相談を無料で受け付けている公的な窓口です。
- 介護保険を使えるか知りたい
- 申請の方法が分からない
- どんなサービスがあるのか相談したい
- 家族の介護で困っている
こうした悩みを、専門職が一緒に考えてくれます。
「まだ早いかも…」と思っても大丈夫
介護の相談というと、「本当に困ってから行く場所」と思われがちです。
でも実は、少し気になり始めた段階でも相談して大丈夫なんです。
早めに話を聞いておくことで、いざというときの安心につながります。
一人で抱え込まなくていい
介護は、家族だけで頑張ろうとすると、どうしても負担が大きくなってしまいます。
だからこそ――困ったときは、外に頼っていい。
それが、介護保険という制度の大切な考え方でもあります。
まとめ|まずは全体像がわかれば大丈夫
ここまで、介護保険の大まかな仕組みについてやさしく整理してきました。
介護保険は――
- 介護が必要になったときに
- 生活を支えてくれる
- みんなで支え合う制度
まずは、このイメージを持てれば十分です。
細かい仕組みや手続きは、必要になったときに一つずつ知っていけば大丈夫。
大切なのは、「ひとりで抱え込まなくていい」と知っておくことだと思います。
次回は「どうやって使うの?」を解説します
次回は、介護保険を実際に利用するまでの流れを、はじめての方にも分かるように解説します。
何から始めればいいの?
申請はどこでするの?
利用までどれくらいかかるの?
そんな疑問に、順番にお答えしていきますね。
これからも、むずかしい制度を、できるだけやさしく。
あなたやご家族が、少しでも安心して介護と向き合えるように、この場所で一緒に考えていけたらうれしいです🌱


