特養のケアマネジャーをしていた頃の話です。
100人規模の大きな施設だったので、本当にたくさんの入居者さん、ご家族との出会いがありました。
私が勤務していたのは、ユニット型の特養です。
「ユニット」というのは、10名ほどの入居者さんがひとつのフロアで生活する形で、それぞれに個室があり、共用のリビングで一緒に過ごします。
入居者さんは、お部屋でゆっくり過ごされる方もいれば、リビングに出てきて、テレビを見たり、他の方と談笑されたりと、過ごし方はさまざまです。
お食事も、みんなで食堂に集まりますが、その方のペースに合わせて時間を調整することもできます。
お風呂も、状態に応じて入れるように工夫されています。
家庭と同じようなお風呂に入れる方もいれば、車いすのまま入れるお風呂、寝たまま入れる機械浴を利用される方もいます。
そして、印象的だったのが「お部屋の雰囲気」です。
衣装ケースとテレビだけのシンプルなお部屋もあれば、自宅のお部屋をそのまま再現されたようなお部屋もありました。
こたつがあったり、化粧台があったり、お仏壇を持ち込まれている方もおられました。
ご家族も、よく面会に来られていました。
屋上で一緒に散歩をしたり、時には外食に出かけたり。
施設に入っても、関係が途切れるわけではなく、その人らしい時間は、ちゃんと続いていました。
ただ、やはり自宅での生活と比べると、
自由度が下がるのも事実です。
特に、感染症が流行る時期は、面会や外出に制限がかかることもあります。
特養は集団生活の場であり、認知症の方も多くおられるため、感染対策が難しく、広がりやすい環境でもあります。
また、入居されている方の多くは、さまざまな病気を抱えておられます。
ほんの少しの体調の変化が、命に関わることもあります。
そのため、施設では「守るための制限」を設けざるを得ない場面もあります。
もちろん、ご家族にとっては納得できないこともあり、厳しい言葉をいただくこともありました。
それでも、
現場の職員はいつも、
「どうすればこの人を守れるか」
「どうすれば安心して過ごしてもらえるか」
を考えながら、日々関わっています。
特養は、自由な生活ができる場所ではないかもしれません。
でも、その人の暮らしを守り、最期まで寄り添うための場所でもあります。


