職場は山間部にある。
町内だけが、まるで異世界みたいな銀世界で、
「なんでここだけ?」
「寒い……」
と、毎朝思っているこより。
職場の中はエアコンがガンガンに効いていて、
仕事中はわりと快適。
寒いのは、外だけ。
そんなある日、
もっと北のほうから出勤してきている同僚が、
さらっとこう言った。
「ここは、自分の家より4℃くらい暖かいんよ。
だから体調がいい」
……え???
その同僚の家では、
ストーブをつけても、
エアコンをつけても、
こたつに入っても、
それでもまだ寒いらしい。
しかも、
その地域では 9月になったら、こたつを出す という。
冬になったら、
もっともっと銀世界。
雪に埋もれて、外に出るのも大変な場所なんやって。
「ここ、あったかいほうやで」
その一言で、
こよりの中の「寒い基準」が、ちょっと揺らいだ。
そういえば、
夫が昔勤めていた施設も、
それよりさらに山奥にあった。
毎日、凍った道を通らなあかん場所で、
一度スリップして、
車が溝に落ちて、
そのまま廃車になったこともあるらしい。
寒さにも、雪にも、
それぞれの「日常」がある。
人のしんどさは、比べられない。
でも、
環境が変わるだけで、体調が変わることはある。
自分が
「ここはしんどいなぁ」と思っている場所が、
誰かにとっては
「ここに来たら、ちょっと楽」
な場所やったりする。
同じ銀世界でも、
立つ場所が違えば、感じ方も違う。
今日も、
職場の外の雪を見ながら、
「寒いなぁ」と思いつつ、
ちょっとだけ世界が広がった気がした。

