「できてるつもり」が一番こわい|訪問看護で変わった、あるご夫婦の話

介護エッセイ

居宅ケアマネで働いていた頃、要介護1の80代男性を担当していたときの話です。

その方は奥様とお二人暮らしで、とにかく明るくてお話好き。糖尿病はあるものの、普段は元気に過ごされていました。

認知症の症状もありましたが進行はゆるやかで、身の回りのことはご自身でできてはりました。

私は毎月訪問して、体調を確認したり、通院で先生に言われたことや血液検査の結果を見せてもらって一緒に確認したりしてたんです。

ところがある月、糖尿病の数値がいつもより高いことに気づきました。

「お薬はちゃんと飲めてますか?インスリンの注射はできてます?」
奥様に聞くと、「私が管理してます。注射もできてますよ」とはっきり言われます。

でも、奥様にも軽い認知症の症状が出てきていました。
それにご本人は運動が大の苦手で、こたつの自分の席から石みたいに動かれないのです。

私はご本人、奥様、娘さんにも相談して、訪問看護の利用を提案してみました。
「できてるつもり」でも、誰かが一緒に確認できる仕組みがあると安心だからです。

サービスが始まって、訪問看護師さんが訪問し、薬や注射の状況を確認してくれました。
すると、びっくりするくらい薬と注射が余っていて、正しく服薬や注射ができていないことが分かりました。

そこから支援が動き出しました。

  • 医師との連携
  • 服薬やインスリン注射の管理サポート
  • 看護師さんによる運動の声かけ
  • 身体チェック(糖尿病の進行や変化を早めに見つける)

週1回、看護師さんが訪問して薬を一緒に確認して、散歩や体操も少しずつ。
それを続けるうちに、糖尿病の数値は徐々に安定してきました。

さらに、爪切りなどで身体に触れることで、むくみや小さな傷も早めに見つけられるようになって、必要な対応につなげられるようになりました。

「できるだけ元気に、大好きなおうちで過ごしたい」
その思いを叶えるために、訪問看護がそっと土台になってくれたんやなぁ…と、今でも思います。

家で暮らすって、実は“確認できる仕組み”があるだけで変わります。

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