地域包括支援センターでケアマネをしていた頃の話です。
70代の女性、Aさんから相談がありました。
「リハビリをしに行きたいのですが、どうしたらいいですか?」
すでにご自身で介護保険の申請をされており、要支援1の認定が出たとのことでした。
役所で「要支援の方は地域包括に相談してください」と言われ、電話をくださったのです。
ご自宅に伺って話を聞くと、
「パーキンソン病と診断されたんです」と、静かに話されました。
今は一人暮らしで生活できているけれど、
この先、病気が進んでいくことへの不安があること。
かかりつけの病院で、
「少しでも進行を遅らせるために、リハビリをした方がいい」と言われたこと。
「こんな病気になって、くやしい。でも、仕方ないですよ。できることをやらないと…」
そう言いながら、Aさんの目から涙がこぼれました。
その表情は、悔しさと、病気と向き合おうとする強さのあいだで揺れているように見えました。
なんとか、この不安を少しでも軽くできないか。
そう思い、私はデイケアの利用を提案しました。
Aさんは、パーキンソン病の治療を専門の病院で受けておられました。
その病状に合わせたリハビリを行うためには、医師の指示のもとで、専門職が関わるデイケアが適していると考えたからです。
そしてもうひとつ。
身体のリハビリだけでなく、「心のリハビリ」も大切だと思いました。
同じように悩みながら通っている人がいること。
寄り添ってくれる専門職がいること。
それは、Aさんにとって大きな支えになるはずだと感じたのです。
Aさんは、週1回、半日のデイケアに通うことになりました。
一日型のサービスもある事業所でしたが、
「入浴など、自分でできることは自宅で続ける」という目標のもと、リハビリ中心の利用が始まりました。
その後、ご自宅を訪問した際に、デイケアの様子を聞いてみると、
「楽しいです!リハビリしてから、身体が動きやすくなってきた気がします」
と、以前よりも明るい表情で話してくださいました。
さらに、大好きな韓流ドラマの話になると、ストーリーや“推し”のことを、まるで少女のように楽しそうに話してくださっていました。
その姿を見て、デイケアでの時間は、Aさんにとって「ただのリハビリ」ではなく、
「自分自身を取り戻す時間」なのかもしれない
と感じたことを、今でもよく覚えています。


