こよりは田舎に住んでいる。
しかも、まあまあの山間部。
職場までの通勤路は、
山の中の国道をひたすら北へ向かって走る道や。
途中で一度、まちになる。
「あ、ここはもう大丈夫かな」と思う。
けど、またすぐ山に入る。
この道で気をつけなあかんのは、ふたつ。
ひとつは、飛び出してくる鹿。
もうひとつは、お天気。
鹿は年中無休で注意が必要やけど、
今日の主役はお天気のほう。
山の天気は、とにかく変わりやすい。
カーブを曲がるたびに、
「あれ?」
「さっきより暗ない?」
と、少しずつ空の色が変わっていく。
気づいたら、
山の斜面には雪。
路肩にも雪。
「おやおや?」と思いながら走る。
でも、こよりが一番不思議に思うのは、ここから。
職場の町内だけ、銀世界。
❄️❄️❄️❄️❄️
すぐそこに見えている道も、
畑も、
住宅も、
ぜんぶ晴れてて、何にも積もってへん。
なのに。
なんで職場のまわりだけ、雪に埋もれてるん???
異世界かと思う。
ほんまに。
理由は、あとからわかった。
職場は、山のふもと。
日当たりが、めちゃくちゃ悪い。
午後にならんと、
お日さまが届かへん。
そら寒いわ。
そら溶けへんわ。
そら銀世界やわ。
寒さはつらいけど、
このギャップのある景色が、なんともおもしろい。
さっきまで現実やったのに、
一歩入ったら別世界。
今日もこよりは、
「ここだけ異世界やなぁ」
と思いながら、雪道を歩く。
雪は、好き。
でも――
職場のまわりだけ銀世界なんは、聞いてへん。


