「できることがある」認知症デイで見た、利用者さんの変化

介護エッセイ

認知症対応型デイサービスで働いていた頃の話です。

本当に、いろんな利用者さんと出会いました。

みなさん、自宅で生活されていて、ご家族が介護をされています。

症状はおひとりおひとり違いますが、少人数でなじみの関係が築けるため、最初は落ち着かない方も、少しずつ利用に慣れてこられます。

認知症デイでの活動は、特別なことばかりではありません。

みんなで食事を作ったり、食器を洗ったり。

男性の方が、「今日は自分がやるわ」と、食器洗いを楽しみにされていることもありました。

ある日は、ホームセンターまで出かけて、トマトやキュウリの苗を一緒に選びました。

デイに来られるたびに、

「大きくなったかな」
「水あげてもいい?」

と、じょうろを持って水やりをしてくださいます。

デイの車を洗ってくださる方。
玄関の掃き掃除をしてくださる方。

そこには、「してもらう人」ではなく、「役割を持っている人」として過ごす姿がありました。


認知症になると、どうしてもできないことが増えたり、周りの人には理解しにくい言動が見られることがあります。

認知症は「病識がない」と言われることもありますが、決してそんな方ばかりではありません。

ご本人も、

「何かがおかしい」
「ちゃんとしなくちゃ」
「しっかりしなきゃ」

そう思いながら行動していることもあります。

それでも、うまくいかず、

「なんでこんなことしたの?」
「じっとしてて」

と周りから言われてしまうこともある。

日常生活をともにするご家族にとっても、介護は大きな負担になります。

近しい存在だからこそ、お互いにしんどくなってしまうこともあると思います。

そんな中で、

「ここに来れば知っている人がいる」
「私にもできることがある」
「必要としてもらえる」

そう感じられる場所があることは、とても大切です。

認知症デイで過ごす時間は、ただのサービスの利用ではなく、その人らしさを取り戻す時間であり、安心できる居場所になっているのだと感じました。

そしてそれは、ご本人だけでなく、ご家族との関係を、少しずつやわらかくしていくことにもつながっていく。

そんなふうに思った出来事でした。

タイトルとURLをコピーしました